築33年の団地を全面リフォームしたお宅です。
二人のお子様も独立して、夫婦だけの生活を快適に暮らせるように、
造りつけ収納にして、スッキリと物が整理できるように計画しました。
延べ床面積56㎡の広さは決して余裕があるわけではありませんが、
収納計画をしっかりして、家具をコンパクトに提案することで、
お二人暮らしに、ピッタリのお部屋になりました。
①の写真を見て、カウンター左右の天井までの収納を、扉を揃えたほうが、いいのでは?
と思われるかもしれません。これには二つの理由があります。
一つは、②の右上を見ると、カーテンレールがあります。この出っ張りにより、扉が開かないのです! でも隠したいものもあるので、収納の内側にロールスクリーン取付、色は壁と同色にしました。
二つ目は、FAX付電話を置き、すぐに使うものを取り出しやすくする為です。
下部には大小色々なカゴを引出代わりにしたり、お部屋で散らかってしまう物を、サッと入れられるのも便利です。
①カウンター下の扉はデザイン的には、開き戸のほうが合うのですが、③のように開けたままでも扉がじゃまにならず、DVDデッキなどをいれて開いたままリモコンが使えるようにしたのです。下はアルバム、上はデッキが入る高さです。
10帖のLDKを快適にするには?
テレビ、ソファ、キッチン、ダイニングセット、収納など、生活の為の必要なものが一番多くあります。全ての物をお部屋に合わせて小ぶりにして、狭さを感じないようにインテリアを工夫しています。
既存のキッチンセット間口250cm⇒間口240cmにあえて小さくして、キッチン・レンジ台・冷蔵庫が横一列に並ぶようにしました。
⑤写真のキッチンセットを設置した残りの寸法は110cm。冷蔵庫の間口寸法を余裕をもって差し引くと、450cm。市販品のレンジ台では無い為、特注で製作しました。
上から、レンジ、トースター、炊飯器が、ぴったり収まります。奥行が65cmもあるので、スライド式で、トースターの後ろにはコーヒーメーカーもあり、手前に引き出すだけでそのまま使えます。(コンセントタップが後ろにあります。)一番下はキャスター付食品庫。たっぷり入ります。
⑥はIKEAで見つけた、壁付けの水切りカゴ。折りたためます。
小柄な奥様でも、吊り戸棚の下段は使えるように、BOXを使えば手が届いて出し入れ可能になります。100円ショップなどに色々あります。
お部屋に程よいサイズの直径110cm“マルメッコテーブル”と、丸く収まる!?“フーチェア”
どちらも、オーク材の無垢で、オイル仕上。自然な柔かさがあります。
左側の白い物・・なんだと思いますか?
見学会では冷蔵庫!?と見間違えた人もいましたが、食器棚なんです。奥行33cmで壁に固定式です。
ソファは、小さい中でも一番高さがなく、お部屋が広く感じる為に、
無印良品で探し当てたコンパクトソファです。
大きな柾目の引戸をあけると、和室と続き間になります。
和室も落ち着く感じがします。
今回のリフォームで、
嫁入りの婚礼家具を全て手放す決心をされましたが、
鎌倉彫の思い出のある家具を何かで残してあげようと考え、三面鏡の上部を再利用しました。
地袋の襖紙の色も合わせて、レトロなペンダントで灯りの演出をしています。
和室の壁も珪藻土ですが、ワラを混ぜています。自然な模様になっています。
地袋の襖には”楮”という植物が含まれた阿波紙を使っています。⑮
地袋は中身は、奥様の趣味の茶道具が入っています。珪藻土の下塗りを収納の中まで塗り、床板も無垢材にして、湿気対策しています。⑯
押入れ襖の中を開くと、ここにも鎌倉彫の和箪笥の一部を利用して着物を収納します。⑰
開けたままでも邪魔にならず、アウトセットなので構造的に問題もクリアできます。
建枠がないので、すっきり見えます。
普段は閉めない部分はカーテンに。洗面・浴室の通気性にも良く。
タオル掛けを取付できる壁がないときにおススメ、IKEAで見つけました。ふきん掛けの巨大版!?
洗濯物の乾きが悪い日には、簡単に取り外しできるホスクリーンを使い、エアコンを数十分つければ乾きます。
付長押のデザインピクチャーレールです。フックは移動できます。これでコンクリートの壁でも自由に飾りものができますね。
奥行13cmの小さい造り付け棚板ですが、とても便利なようです。
最後はカーテンの提案です。アイボリーの色合いと地模様の横ライン、夏の強い日差しもやさしくしてくれます。
築30年以上の団地でいかに快適になるか・・・一番考えたのは実は写真には写らない湿気のことでした。最近のマンションとは違い、空調設備も導入できません。
そこで、昔から日本の住宅で使われている、珪藻土を全ての天井・壁に使い湿度コントロールと消臭・空気清浄の効果、また襖紙にも自然なものにこだわりました。
築年数を超えて、新築以上の住まいになります。
工事前、工事中の様子はこちらからご覧いただけます。
昭和56年に住宅都市整備公団で建てられた団地です。
洗面・トイレ・浴室だけは既にリフォームされていましたが、その他の部屋とキッチンはそのままの状態で使用されていました。
左上の写真は、間口が1m20cmの大きさの押入れの襖だった部分を壊して、
北と南を続き間にしました。春から夏には風通しが良く、エアコンの冷房の回数が減り、身体にもいいようです。
通常より大きい間仕切り襖は、白色系の地に楮などの植物が含まれている和紙と、茶色系の地に、モミ殻が含まれている和紙の組み合わせです。
洋間から見ても同じデザインですが、和洋折衷なインテリアなので違和感なく収まっています。
施主のY様は、森林セラピストの勉強をされており、人が森や木に癒しを感じることを良くご存じで、『無垢の板を壁の一面に張りませんか?』という提案に大賛成していただきました。
カウンターも無垢の一枚物を提案しました。
しかし、長さと、幅と、重さのある一枚板を、5階まで上げるのは実は大変でした。
お部屋の雰囲気に合わせて、キッチンは木目調ですが無垢の木ではありません。
お掃除のし易さを考慮して決めました。
事例1と同じ団地の再生リフォームです。
Y様宅の、壁・天井を仕上げた珪藻土を見て、同じようにしたいとの希望でした。
お手持ちの家具をどうするか?というところから相談に入り、
今すぐに全てを処分はできないけれど、徐々に統一しましょう!となって、
ホワイトバーチ色を基本カラーにしました。
左上写真、飾り棚板はIKEAで購入して、下部の家具の色に合わせて塗装しました。
ソファの背後にあるナチュラル系の棚は、既にお持ちだったオープン棚に扉をつけて、
扉が開くとパソコンデスクに使える仕組みです。
右上写真の畳のお部屋の造作は、お子様の成長と共に増えるであろう物等をカゴを自由にいれて、収納できるようにご提案しました。 また、中央部分の低いカウンターは文机にも使えるように設計しました。
どのお部屋も間接照明の柔かな灯りで、リラックスできる雰囲気を演出しています。
和室の襖は、麻入りの和紙で、花嫁の白無垢のような光沢感があります。
写真では伝えられないのが残念です。
独立前に設計した家の写真集です。
建築家のような斬新なデザインなどはありません。
江南由賀が創造した家というより、施主のイメージや、生活スタイルに合う家を
一緒に造りあげて形になっています。
どの家も、外形・色・全てが異なっています。
自分に似合う服装、好きな食べ物・・人それぞれですね
住みやすい家も、人それぞれ・・ではないでしょうか?